この記事の監修者

㈱イレブン技術商品部 部長
インストラクター
村上 琴音(ムラカミ コトネ)
株式会社イレブンで商品開発とインストラクターを担当。資格と現場経験を活かし、個人サロンの成長を支援しています。
この記事の監修者
㈱イレブン技術商品部 部長
インストラクター
村上 琴音(ムラカミ コトネ)
株式会社イレブンで商品開発とインストラクターを担当。資格と現場経験を活かし、個人サロンの成長を支援しています。
「いつか自分の自宅サロンを開きたい!」
そんな素敵な夢を描いているあなたへ。 開業準備と並行して、少しずつ知っておきたいのが「お金」のこと。特に、確定申告や経費の管理は、サロンを安定して運営していくためにとても重要です。
「確定申告って難しそう…」「経費ってどこまで認められるの?」「最近よく聞くインボイス制度って何?」
そんな不安や疑問を抱える初心者の方でも大丈夫!
この記事では、自宅サロンの確定申告について、基本的な知識から具体的な手続き、知っておきたい制度まで、わかりやすく解説していきます。
自宅サロンで収入(売上から経費を差し引いた「所得」)が一定額以上ある場合は、確定申告をして所得税を納める義務があります。
具体的には、年間の所得が48万円(基礎控除額)を超える場合は、基本的に確定申告が必要です。 扶養に入っている方や、他に給与所得がある方(副業の場合など)は、条件が異なる場合がありますので注意しましょう。
サロンの売上だけでなく、そこから経費を引いた「所得」で判断します。
多くの場合、自宅サロンは「個人事業主」としてスタートします。個人事業主は、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得とそれに対する税金を計算し、翌年の原則2月16日から3月15日までの間に税務署に申告・納税します。これが確定申告です。
もし「法人(会社)」としてサロンを設立した場合、個人の確定申告ではなく、「法人税」の申告が必要になります。手続きや税金の計算方法が個人事業主とは大きく異なります。
最初は個人事業主として始め、事業が軌道に乗ってきたら法人化を検討するのが一般的です。
この記事では、主に個人事業主の場合について解説します。
確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
項目 | 白色申告 | 青色申告 |
---|---|---|
帳簿付け | 簡単な帳簿(簡易簿記) | 原則として複式簿記(会計ソフトを使えば難しくない) |
事前の届け出 | 不要 | 必要(開業届、青色申告承認申請書) |
主なメリット | 手間が少ない | 最大65万円の特別控除、赤字の繰越し、家族への給与を経費にできる など |
デメリット | 税制上の特典が少ない | 帳簿付けの手間がやや増える |
おすすめ | 手間をかけたくない、所得が少ない方 | 節税メリットが大きいので、基本的にはこちらを目指したい |
初心者の方へのおすすめ: 最初は難しく感じるかもしれませんが、会計ソフトを使えば複式簿記も対応可能です。節税効果が高い「青色申告」を目指すのがおすすめです。まずは、簡単な「青色申告(10万円控除)」から始めてみるのも良いでしょう。
確定申告では、売上から「経費」を差し引いて所得を計算します。経費を正しく計上することが、節税の第一歩です。
経費として認められるのは、「事業(サロン運営)に関連して発生した費用」です。つまり、サロンの売上を上げるために必要だった支出が対象となります。
自宅サロンで経費にできる可能性のある主な項目をリストアップしました。
自宅の一部をサロンとして使っている場合、家賃や水道光熱費などは、プライベートで使用している部分と事業で使用している部分を分ける必要があります。これを「家事按分(かじあんぶん)」といいます。
按分する割合は、客観的で合理的な基準で決める必要があります。
例1:家賃の按分
例2:電気代の按分
ポイント
按分割合の根拠(計算方法など)を明確にして、説明できるようにしておくことが大切です。
以下のようなものは、事業とは関係がないため経費にはできません。
事業用とプライベート用のお金やレシートは、きちんと分けて管理しましょう。
確定申告は、準備から提出まで計画的に進めることが大切です。
個人事業主として事業を開始したら、原則として1ヶ月以内に税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出します。
さらに、青色申告を希望する場合は、原則として開業日から2ヶ月以内(または青色申告をしようとする年の3月15日まで)に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
日々の取引(収入や支出)を記録することを「帳簿付け」といいます。
初心者には会計ソフトの利用が最もおすすめです。
日々の取引を証明するために、以下の書類をきちんと保管しておく必要があります。
レシートや領収書は、日付、金額、支払先、内容がわかるように整理して保管しましょう。会計ソフトによっては、レシートをスマホで撮影して自動で取り込める機能もあります。
作成した確定申告書は、以下のいずれかの方法で提出します。
提出方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
e-Tax(電子申告) | 自宅から提出可能、還付が早い、青色申告特別控除65万円の要件 | マイナンバーカードやカードリーダー等が必要な場合あり |
郵送 | 税務署に行かなくてよい | 提出期限日の消印有効、控えに受付印がもらえない |
税務署へ持参 | 窓口で確認してもらえる(場合による)、控えに受付印がもらえる | 税務署が開いている時間に行く必要がある、混雑する場合がある |
提出期
原則として、翌年の2月16日から3月15日までです。期限を過ぎるとペナルティが発生する場合があるので注意しましょう。
2023年10月から始まった「インボイス制度」。自宅サロンにも関係があるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
インボイス制度は、簡単に言うと「消費税の計算(仕入税額控除)に関する新しいルール」です。 事業者が、仕入れにかかった消費税を、納める消費税額から差し引く(仕入税額控除)ためには、「適格請求書(インボイス)」と呼ばれる特定の要件を満たした請求書や領収書の保存が必要になりました。
消費税を納める義務がある事業者を「課税事業者」、納める義務が免除されている事業者を「免税事業者」といいます。
原則として、2年前(または前年の特定期間)の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になります。開業したばかりの方や、売上規模がそれほど大きくない自宅サロンの多くは、免税事業者に該当します。
インボイスを発行できるのは、「適格請求書発行事業者」として登録した課税事業者のみです。免税事業者はインボイスを発行できません。
インボイス登録(適格請求書発行事業者になること)をすべきかどうかは、主に以下の点を考慮して判断します。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
インボイス登録 | 課税事業者である取引先から選ばれやすくなる可能性がある。 | 消費税の申告・納税義務が発生する(売上が1,000万円以下でも)。 事務負担が増える。 |
登録しない | 消費税の申告・納税が不要(免税事業者の場合)。 事務負担が変わらない。 | 課税事業者である取引先から、取引を敬遠されたり、値下げを要求されたりする可能性がある。 |
ポイント
ご自身のサロンのお客様層や、今後の事業展開を考えて慎重に判断しましょう。迷った場合は、税務署や税理士に相談することをおすすめします。
スムーズな確定申告と健全なサロン経営のために、日々の帳簿とお金の管理はとても大切です。
初心者向けのクラウド会計ソフトには、無料プランや低価格のプランが用意されているものもあります。代表的なソフトとしては以下のようなものがあります。
無料プランや無料お試し期間を活用して、自分に合ったソフトを探してみましょう。
確定申告が終わっても、帳簿や領収書などの書類はすぐに捨ててはいけません。税務調査が入った場合に提示を求められるため、法律で定められた期間、保存しておく義務があります。
整理して、いつでも見返せるように保管しておきましょう。
生計を一緒にしている配偶者や親族にサロンの仕事を手伝ってもらい、給与を支払う場合、一定の要件を満たせばその給与を経費にすることができます。
家族への給与を経費にできるのは、青色申告の大きなメリットの一つです。
開業準備中から、確定申告や税務について意識しておくと、スムーズなスタートを切れます。
時期 | やること |
---|---|
1月~12月 | ・日々の売上、経費の記帳(帳簿付け)・領収書、レシートなどの整理・保管 |
12月 | ・年間の収支の見込みを確認・節税対策の最終チェック(駆け込みも可能) |
翌年1月 | ・1年間の帳簿を締める・確定申告書類の作成準備 |
翌年2月16日~3月15日 | ・確定申告書の提出・所得税の納付 |
3月~5月 | ・(該当する場合)消費税の申告・納付 |
6月頃 | ・住民税の納付書が届く(年4回に分けて納付、または一括納付) |
注意
節税対策は、ご自身の状況に合わせて検討することが重要です。不明な点は専門家に相談しましょう。
売上ではなく「所得(売上 – 経費)」で判断します。年間の所得が基礎控除額48万円を超える場合は、原則として確定申告が必要です。 ただし、医療費控除や生命保険料控除など、他の所得控除がある場合は、所得が48万円を超えていても税金がかからない(=申告不要)ケースもあります。 また、副業として自宅サロンをしていて、給与所得があり、サロンの所得が20万円以下の場合は、所得税の確定申告は不要な場合があります(ただし、住民税の申告は必要です)。
従業員を雇って給与を支払う場合は、源泉徴収(給与から所得税を天引きして国に納める)、年末調整(年末に年間の所得税を精算する)、法定調書の提出(税務署に従業員の給与支払い状況などを報告する)といった手続きが必要になります。事務負担が増えるため、注意が必要です。
税理税理士に依頼する内容は、記帳代行から確定申告書の作成・提出まで、様々です。費用は、依頼内容やサロンの規模、税理士事務所によって異なります。
費用はかかりますが、正確な申告ができる、節税のアドバイスがもらえる、本業に集中できるといったメリットがあります。
ここまで読んで、「やっぱり確定申告って大変そう…」と感じたかもしれません。確かに、最初は覚えることが多く、戸惑うこともあるでしょう。 でも、大丈夫です。一つ一つのルールや手順を理解し、早めに準備を始めれば、決して乗り越えられない壁ではありません。会計ソフトなどの便利なツールも活用しましょう。
確定申告を正しく行うことは、ペナルティを避けるだけでなく、ご自身のサロンの経営状況を正確に把握し、将来の計画を立てるためにも不可欠です。
もし、どうしても不安な点や、わからないことがあれば、一人で抱え込まずに専門家である税理士に相談することをおすすめします。 特に、開業時やインボイス制度への対応など、重要な判断が必要な場面では、プロのアドバイスが心強い味方になります。
「自分だけで確定申告できるか不安…」 「経費の分け方やインボイス制度について、もっと詳しく聞きたい!」 「信頼できる税理士さんを探したい」
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