この記事の監修者

㈱イレブン技術商品部 部長
インストラクター
村上 琴音(ムラカミ コトネ)
株式会社イレブンで商品開発とインストラクターを担当。資格と現場経験を活かし、個人サロンの成長を支援しています。
この記事の監修者
㈱イレブン技術商品部 部長
インストラクター
村上 琴音(ムラカミ コトネ)
株式会社イレブンで商品開発とインストラクターを担当。資格と現場経験を活かし、個人サロンの成長を支援しています。
「自宅で好きなことを仕事にしたい」
「自分のペースで働きたい」
そんな思いから自宅サロン開業を考える方は多いでしょう。しかし、同時に「本当に儲かるの?」「生活できるだけの収入は得られる?」といった不安もつきまといます。
この記事では、自宅サロンのリアルな収入事情、開業に必要なコスト、そして成功の秘訣から失敗しないための注意点まで、具体的な数字や事例を交えながら徹底的に解説します。あなたの自宅サロン開業の夢を、現実的な成功へと導くための羅針盤となるはずです。
自宅サロンの収入は、業種、立地、経営努力によって大きく変動します。まずは、平均的な収入や収入の推移モデルを知り、現実的な目標設定の参考にしましょう。
自宅サロンオーナーの収入に関する公的な統計データは限られていますが、業界団体の調査や求人情報、開業支援サービスのデータなどを参考にすると、業種別のおおよその目安が見えてきます。
業種 | 平均月収(目安) | 平均年収(目安) | 備考 |
---|---|---|---|
エステサロン | 25万円~60万円 | 300万円~720万円 | 機器導入や専門知識で高単価も狙える。物販収入も重要。 |
ネイルサロン | 20万円~45万円 | 240万円~540万円 | リピート率が鍵。デザイン力やトレンド把握が重要。 |
アイラッシュ | 25万円~50万円 | 300万円~600万円 | 技術力が求められる。客単価は比較的安定。 |
美容室 | 30万円~70万円 | 360万円~840万円 | 設備投資が大きい傾向。固定客獲得が安定収入につながる。 |
リラクゼーション | 20万円~40万円 | 240万円~480万円 | 手技中心の場合、初期投資は抑えめ。メニューの多様化がポイント。 |
※注意点
最新情報の収集
業界専門誌、Webメディア、開業支援セミナーなどで最新の情報を得るようにしましょう。また、地域の同業者との情報交換も有効です。
自宅サロンの収入は、開業からの期間によって変化するのが一般的です。
開業直後(~3ヶ月)…赤字または収支トントン
半年後…徐々に黒字化
軌道に乗った後(1年後~)…安定収入期
具体的な目標月収を設定するために、簡単なシミュレーションをしてみましょう。
月収 = ( ①客単価 × ②1日の平均施術人数 × ③月間営業日数 ) – ④月間経費
【計算例】
計算
( 8,000円 × 3人 × 20日 ) – 100,000円 = 480,000円 – 100,000円 = 月収 38万円
この式にあなたの想定する数字を当てはめて、目標月収達成に必要な客単価や施術人数、営業日数を考えてみましょう。
シミュレーション式からもわかるように、自宅サロンの売上は主に「客単価」「施術人数」「営業日数」で決まります。そして、利益を最大化するためには「経費率」と「リピート率」も重要な要素です。ここでは、それぞれの要素を高めるための具体的な方法を見ていきましょう。
客単価を上げるには、単に値上げするだけでなく、顧客満足度を高めながら自然に単価アップできる工夫が必要です。
セットメニューの導入
物販の強化
限られた時間の中で施術人数を増やすには、効率的なタイムテーブル管理が不可欠です。
予約枠の最適化
キャンセル対策
売上が上がっても、経費がかさめば利益は残りません。定期的にコストを見直し、無駄を削減しましょう。
新規顧客獲得にはコストがかかります。安定経営のためには、一度来店した顧客に繰り返し来てもらうこと、つまりリピート率を高めることが非常に重要です。目標はリピート率80%以上を目指しましょう。
次回来店促進
コミュニケーションの継続
開業初期やコストを抑えたい場合、無料のツールを活用した集客が有効です。
自宅サロン開業には、どのくらいの費用がかかり、いつ頃回収できるのでしょうか。開業スタイルによってコストは大きく異なります。
項目 | 持ち家(一部利用) | 賃貸マンション(住居兼) | テナント(店舗専用) |
---|---|---|---|
初期費用 | 内装・設備費が主(低~中) | 保証金、礼金、仲介手数料、内装・設備費(中~高) | 保証金、礼金、仲介手数料、内装・設備費(高) |
ランニングコスト | 家賃(按分)、水道光熱費(按分)(低) | 家賃、管理費、水道光熱費(中) | 家賃、管理費、共益費、水道光熱費(高) |
メリット | 家賃負担少ない、通勤不要 | プライベートと分けやすい | 集客しやすい立地も、看板設置可 |
デメリット | 生活感が出やすい、広さ制限 | 近隣への配慮必要、規約制限 | コストが高い、住居別途必要 |
初期費用目安 | 10万円~100万円程度 | 50万円~200万円程度 | 100万円~500万円以上 |
回収期間目安 | 短~中 | 中 | 中~長 |
※注意点: 内装工事の規模、導入する設備のグレードによって費用は大きく変動します。
業種によって必要なものは異なりますが、主な費用項目と目安は以下の通りです。
合計初期費用目安
30万円~200万円程度(持ち家・小規模の場合)~ 数百万円(賃貸・テナントで設備投資が大きい場合)
開業にかかった費用(初期投資)を、毎月の利益で返済していくイメージです。
投資回収期間の計算
100万円 ÷ 35万円/月 ≒ 約2.9ヶ月
これはあくまで順調に目標利益を達成できた場合の計算です。実際には、開業初期は売上が安定しないため、回収期間はもっと長くなる(半年~1年以上)と想定しておくのが現実的です。
ポイント
無理のない返済計画を立て、運転資金には余裕を持たせましょう。後述する補助金・助成金の活用も検討してください。
「儲かっている」自宅サロンオーナーは、どのように時間を使っているのでしょうか? 成功事例から、効率的な働き方や顧客満足度を高めるヒントを探りましょう。
月商100万円を達成するオーナーは、客単価が高い傾向にあります。
高い評価を得ているサロンは、技術力だけでなく、心地よいコミュニケーションも大切にしています。
ポイント
}常に顧客目線で、丁寧かつ親しみやすい言葉遣いを心がける。マニュアル通りの対応ではなく、一人ひとりに合わせたパーソナルなコミュニケーションが重要。
残念ながら、全ての自宅サロンが成功するわけではありません。失敗には共通するパターンがあります。反面教師として学び、同じ轍を踏まないようにしましょう。
事例: 開業1年、リピーターも増えてきたため、十分な告知や理由説明なしに突然全メニューを大幅値上げ。結果、顧客から不信感を持たれ、客離れが起きてしまった。
教訓
値上げは、顧客への十分な事前告知(1~2ヶ月前目安)と、納得してもらえる理由説明が不可欠。顧客との信頼関係を第一に考える。
開業資金や運転資金の負担を軽減するために、国や自治体が提供する補助金・助成金制度を積極的に活用しましょう。
その他
※注意点
補助金・助成金は公募期間が定められており、要件や内容は変更されることがあります。常に最新情報を確認してください。
補助金申請は書類作成などが煩雑なため、専門家のサポートを受けることも有効です。
自宅サロン開業に関する疑問は尽きません。ここでは、特によく寄せられる質問にお答えします。
不可能ではありませんが、簡単ではありません。月収100万円を達成するには、以下の要素が複合的に必要になります。
一部の人気サロンや、多店舗展開、スクール運営などを組み合わせているオーナーであれば十分に可能性がありますが、開業してすぐに達成できる目標ではないと考えるのが現実的です。まずは着実に収益を伸ばしていくことを目指しましょう。
開業届
個人事業主として事業を開始する場合、原則として開業から1ヶ月以内に税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。家族がいても、事業主本人が提出します。
消防法
自宅の一部をサロンとして使用する場合でも、不特定多数の人が出入りする「事業所」とみなされる可能性があります。
どちらが良いかは、個人の状況や目標によって異なります。
副業スタートのメリット
副業スタートのデメリット
専業スタートのメリット
専業スタートのデメリット
判断のポイント
まずは副業で小さく始め、軌道に乗ってきたら専業に移行するというステップを踏むのも有効な戦略です
自宅サロンが「儲かる」かどうかは、あなた次第です。成功するためには、正しい知識と計画、そして地道な努力が不可欠です。最後に、儲かる自宅サロンを実現するためのチェックリストと、具体的なアクションプランをまとめました。