おうちサロンを開業するにあたって「開業届」を税務署に提出する必要があるのかどうか、不安に思う方が多いのではないでしょうか?
また、開業届と聞くと難しく感じてしまう人も多いでしょう。
今回はおうちサロンの開業届けの提出を検討している方へ、開業届は必要なのかどうか、メリットやデメリットと合わせてご紹介します。
“おうちサロンの開業に資格が必要かどうか”については「おうちサロン開業のために必要な資格・届出は?人気の業種別に解説」をお読みください。
おうちサロン|自宅サロン開業のために必要な資格・届出は?人気の業種別に解説おうちサロン(自宅サロン)の開業届の必要性
そもそもおうちサロンを開業するにあたって開業届の提出は絶対に必要なのでしょうか?
開業届とは税務署に対して、個人事業を開業したよということを申告するための書類ですが、全員が絶対に必要かというとそうではありません。
開業届が必要な場合と不要な場合に分けてご紹介します。
開業届が必要な場合
おうちサロンを開業するなら、基本的には開業届が必要です。
なぜなら、確定申告を行う上で節税効果の高い青色申告特別控除を受けることができたり、銀行口座の開設手続きやオフィス契約などの際に開業届の提出が求められたりすることがあるためです。
特別な理由があって提出をしないというケースを除き、基本的にメリットの方が大きいので提出することが推奨されています。
この後紹介する「開業届が不要な場合」に当てはまらない人は基本的に提出しましょう。
開業届が不要な場合
そもそも開業届が「不要」となるケースは非常に少ないです。しかし、以下に該当する場合は不要となることもあります。
- 配偶者の扶養に入っている場合
- 失業保険を受け取っている場合
開業届を提出すると扶養から外れてしまうので、保険料を自ら納めないといけなくなります。
また、開業届を提出することで失業保険の受給対象から外れてしまうので対象者の方は注意が必要です。
上記のどちらにも該当しないという方は提出するようにしましょう。
開業届を出さなかった場合の罰則
個人事業主が開業した場合、開業届を提出することは所得税法 第229条によって義務付けられています。
「居住者または非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき事業を開始し、または当該事業にかかる事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、もしくはこれらを移転しもしくは廃止した場合には財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があった日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。」
なぜ法律で義務付けられているかというと、税務署が個人事業者を把握し、しっかりと税金を納めさせるためです。
しかし、義務付けられているからといって提出しなかったとしても、罰せられることはありません。
「罰則がないのなら提出しなくてもいいのでは?」と思う方もいると思います。
しかしながら、この後解説する開業届を提出することによるメリットを読めば、基本的には提出した方があなたにもメリットがあることが分かるはずです。
開業届を提出するメリット
個人事業主にとって開業届を提出することは、基本的にメリットが多いです。具体的なメリットを以下に3つ紹介します。
– 開業届を提出するメリット –
- 確定申告の際に青色申告が可能になる
- 預金口座を屋号で作成することができる
- 勤労証明が可能になる
確定申告の際に青色申告が可能になる
開業届を提出すると確定申告の際に青色申告が可能になり、最大で65万円までの青色申告特別控除を受けられるようになります。
開業届を提出することの最大のメリットといってもいいでしょう。
青色申告をすることで65万円の特別控除が無条件で行うことができるので、大きな節税効果につながります。
また、青色申告を行っている場合はある年の決算で赤字になったとしても、その赤字額を翌年以降3年間繰り返すことが可能になります。
結果として、翌年以降の黒字額を減少することにつながり、所得税額を減額することができるのです。
このように開業届の提出は、税務面で非常に大きな節税効果を生むのです。
預金口座を屋号で作成することができる
また、開業届を提出することで銀行口座を個人口座以外に屋号で作成できるようになります。
銀行口座は個人用のものと事業用の口座を分けた方が管理しやすく経理作業もしやすくなるため、事業用口座を作成するために開業届を出す方も多いです。
勤労証明が可能になる
開業届を提出し控えを持っておくことで、勤労の証明に用いることが可能になります。
賃貸契約、クレジットカードの作成、各種ローンの審査や保育園などの審査の際に勤労証明が必要になるケースは多いため、そういった観点でも開業届を提出することはメリットにつながるのです。
開業届を提出するデメリット
メリットが目立つ開業届ですが、少なからずデメリットも存在します。2つ紹介するのでデメリットが気になる方は開業届の提出は慎重に行った方がいいでしょう。
– 開業届を提出するデメリット –
- 扶養から外されてしまうケースがある
- 業保険の受給対象から外れてしまう
扶養から外されてしまうケースがある
配偶者の扶養に入っている場合は、開業届を提出すると扶養から外されてしまうことが多いです。
中には一定以下の収入であれば扶養に入れることもありますが、多くの場合は外されてしまいます。
社会保険の扶養から外れてしまうと国民健康保険と国民年金保険を自分で払う必要が生じてしまい、社会保険に関する出費が増えるので気をつけましょう。
おうちサロンを開業しても保険料などの出費が増えることで、最終的な家計の収支が赤字になってしまう可能性もあります。
開業届を提出する前に、保険料がどれぐらいになるのかをシミュレーションするようにしましょう。
失業保険の受給対象から外れてしまう
また、開業届を提出することで失業保険の受給対象から外れてしまう可能性もあります。
基本的におうちサロンを開業しようと検討している人にとって失業保険はあまり関係はないでしょう。
しかし、開業の前にどこかの会社に属していて失業手当を受給しようとしている方は要注意です。
開業届を提出すれば受給資格を失ってしまい手当がもらえなくなるので、失業手当の受給を検討している方はおうちサロンの開業を延期することも検討してみてください。
開業届を提出するタイミング
開業届を提出しようとなった場合の提出するタイミングは、開業後1ヶ月以内に提出することが推奨されています。
しかし、こちらも遅れたからといって罰則があるわけではありません。
事業者の中には半年から1年ほど様子を見て、売り上げがしっかりと立つかどうかを確認した上で提出する方もいます。
開業しても売り上げが立たず、扶養から外れることによる保険料の支払いの方が負担が増えてしまう、ということにならないためにも、不安な方は開業届の提出を様子見してもいいかもしれません。
開業届の提出方法
開業届の提出方法には以下3つの方法があります。
- 手書きで作成し税務署へ持参する
- 郵送で提出する
- webで作成し税務署へ提出する
それぞれの提出方法について簡単にご紹介します。
税務署へ開業届を持参する
まずは国税庁のwebサイトへアクセスし、「個人事業の開業・廃業等届出書」をダウンロードします。
基本的に各項目に沿った形で情報を入力すればいいだけなのですが、マイナンバーと本人確認書類の控えが必要になりますので事前に用意をしておくようにしましょう。
記入が完了したら近くの税務署へ持参し提出する、といった流れです。
税務署の窓口は平日の8時半〜17時までしか空いていませんので気をつけましょう。
郵送で開業届を提出する
郵送で提出する場合も、途中までは持参する流れと一緒です。
国税庁のwebサイトへアクセスし、「個人事業の開業・廃業等届出書」をダウンロードして各種情報を記載してください。
その後、以下のものを同封し、管轄の税務署へ郵送しましょう。
- 開業届
- 開業届の控え(コピーで可)
- 返信用封筒と切手
- マイナンバーが確認できる書類の写し
- 本人確認書類の写し
webで開業届を作成し税務署へ提出する
近年ではwebで開業届を作成する人が増えています。
以下でお勧めする無料ツールを利用すれば簡単に作成できます。さらに、付随した機能を使えば経費の管理も一緒に行うことができますよ!
パソコンが必須になりますが誰でも簡単に開業届の作成が可能ですので、提出方法の中では一番おすすめです。
開業手続きの書類作成におすすめの無料サービス
開業届をweb上で作成し手続きが簡単にできるおすすめの無料サービスを2つ紹介します。どちらも非常に簡単に作成できますのでとてもおすすめです。
マネーフォワードクラウド開業届
マネーフォワードクラウド開業届を使えば、3ステップで簡単におうちサロンの開業届を作成可能です。
おすすめポイントは以下の3つです。
- サービス利用料が無料
- 書類の作成から提出までが最短5分で可能
- 充実のサポート体制
以下のページから作成が簡単に行えます。
動画で開業届作成の流れも紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
▶︎ マネーフォワードクラウド
freee(フリー)
マネーフォワードに並んで国内で有名な開業届作成ツールがfreee(フリー)です。
freeeの開業届作成サービつには以下の3つの特徴があります。
- 項目を埋めるだけで抜け漏れなく開業届の書類が完成
- ガイド付きで安心して作成ができる
- 開業届と同時に青色申告承認申請書の作成も可能
サービスページには利用者の声も載っていますので、クチコミを参考にした上で使ってみたい方にはおすすめです。
▶︎ freee(フリー)
まとめ
おうちサロンを開業したら、開業届を提出することで多くのメリットが得られます。
とくに税務面での負担が軽減されるという点は非常に大きなメリットです。
webサービスを使えば無料で簡単に開業届を作成することができるので、おうちサロンで開業を検討している方は積極的に開業届を提出しましょう。
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